嚥下補綴とは?

摂食嚥下リハビリテーションと歯科補綴学の融合です。保険点数においても、義歯調整という項目はなくなり、今は歯科口腔リハビリテーション料と名称を変えています。行政上の流れは、義歯をリハビリテーションの装具として位置付けられています。補綴を学ぶ者の根底にあるものも、同一のものでなければならない。そのような意図から、嚥下補綴学は発生しています。

「リハビリテーション医学を学ぶと補綴までもが簡単になります」

あらゆる学会において、摂食嚥下リハビリテーションとの融合が叫ばれていますが、歯科医師ならではの学問は歯科補綴であり、今後、ますます発展することが予測される分野です。

機能型診療とは?

歯・口腔が機能するまでを診る診療体系のことです。これまで保存・修復・補綴は歯の欠損を充填、義歯にて歯の構造を回復させることを目的に発展してきました。また、構造回復は歯牙の保存へと形を変え、8020運動といった活動の成果により、残存歯数は確実に増加しています。一方で、パーキンソン病や脳梗塞などの疾病に罹患すると歯の本数や義歯により咬合回復しただけでは、噛めない、飲めないといった機能障害を生じ、高齢者に対する治療ではこれまでの構造回復だけでは対応できなくなります。

 保険点数においても、平成30年度は口腔機能低下症治療の導入がされ、機能型診療元年となりました。歯科医師にとっての高齢者歯科治療は補綴が常に絡みます。

「今後発展が見込まれる診療は高齢者の歯科治療であり、それは機能型診療、嚥下補綴です」

フレイル、オーラルフレイル、口腔機能低下症、摂食嚥下機能障害といった言葉は今後、ますます一般化してきます。そのいずれも機能障害に対する治療、すなわち機能型診療が求められており、今後本格化することが予測される分野です。